12月30日の日経記事より

東京23区の新築マンション価格の中央値は、不動産経済研究所によれば2024年に8940万円と、10年前の1.63倍まで上がった。平均価格は1億1181万円で、中央値よりも大幅に高い。これは、超高額物件の存在が平均値をつり上げているためである。

東京都下と周辺3県の価格中央値(5100万~6148万円)は都心より低いが一般世帯の所得からみれば高い。

価格は上がったが、首都圏平均の専有面積は14年の71.2㎡から66.4㎡まで減っています。

他の大都市や地方中心都市のマンション価格も上がった。新築住宅の取得をあきらめて中古を求める世帯が増え、中古物件価格を押し上げた。住宅購入を断念した人たちは借家を必要とし、家賃も上昇した。

 

住宅市場を過熱したのは「金融化」である。住まいの金融化は1970年代に始まった。政府は73年の石油危機以降、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)の融資拡大による持ち家建設の推進を景気対策の中心に据えた。公庫は80年代後半のバブル拡大期に、貸し付け限度の引き上げなどで住宅購入を促進した。バブルが90年代初頭に崩壊すると今度は不況対策として、融資条件をさらに緩めた。

住宅と住宅ローンのほとんど全部を市場に委ねる政策改革は90年代半ばに始まった。民間住宅ローン金利は94年に自由化した。持ち家取得のほぼ半分に融資していた住宅金融公庫は2007年に廃止され、銀行セクターは巨大な住宅ローン市場を得た。

政府は住宅ローン減税で持ち家購入を促し続けた。13年に始まった日銀の異次元緩和で膨大な資金が不動産市場に向かい、住宅価格を上昇に転じさせた。

持ち家促進の金融化のもとで、個人向け住宅ローンの貸出残高は24年度に227兆1742億円に達した。国内総生産(GDP)比は20年代に37%前後まで上昇した。

ドイツの社会学者ヴォルフガング・シュトレーク氏が言ったように、資本主義経済が1970年代に危機に陥って以来、成長率低下にあらがう手段の中心は国家債務から個人債務に移った。その主力が住宅ローン供給である。住宅債務を拡大し、成長減速を食い止めようとする方針を英政治経済学者のコリン・クラウチ、マシュー・ワトソン両氏はそれぞれ「民営化されたケインズ主義」「住宅価格ケインズ主義」と呼んだ。

東京のマンション価格を未曽有のレベルに上げた一因は建築費上昇にある。

しかし、価格上昇幅は建築費で説明できる範囲を超える。

高額でも家を買う人たちの存在から、マンション高騰を説明する必要がある。

金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は2023年に165万3000世帯と、05年比で9割増(野村総合研究所調べ)。東京のマンション価格は上がったとはいえ、海外の主要都市より低い。ここに22年から円安が重なり、インバウンド投資が「割安」の東京物件に引きつけられた。

しかし富裕層と海外からの投資ではマンション高騰の一部しか説明できない。

国土交通省調査によれば、25年前半に都心6区の新築マンションを買った者のうち海外在住者は7.5%と少ない。東京圏全体では1.9%にすぎなかった。

住宅市場を動かす力の中心は、一般世帯の厚みのある住宅需要である。

低金利が続くなか、住宅ローン商品の開発と販売は一般世帯の上位階層に高額マンションを買う資金力を与えた。

住宅金融支援機構の調査によれば、住宅ローン借り入れ(24年10月~25年3月)のうち、超低金利(1%以下)ローンの利用が72%、借入時金利の低い変動金利ローンの利用が79%、融資率(融資額の住宅価格比)9割超のローン借り入れが40%、返済期間が35年を超えて50年に及ぶケースもある超長期融資の借り入れが26%を占める。

さらに20歳代カップルでは、ペアローン利用が44%、収入合算利用が23%あった。

一方で、住宅ローン商品の発達は新たなリスクを伴う。日銀は24年3月に異次元緩和を転換し利上げに動いた。

変動金利ローン保有者の返済負担は増える。超長期ローンでは整理解雇・役職定年・退職金減などに直面して返済が困難となったり、退職後も残債を抱えたりすることがありえる。

ペアローンでマンションを買った共働き世帯も高収入を維持できるとは限らず、子育て・転勤・老親介護・離婚などをどう乗りこえるのか問われる。一部の特権的な立地のケースを除けば、住宅資産の価値下落もある。融資率の高い債務者は所有住宅の価値が下がれば、残債が担保評価額を上回る担保割れに陥る。

住宅所有を促す政策が続いたにもかかわらず、持ち家率は高齢層を除く全年齢層で下がっている高齢層の持ち家率はほぼ8割で推移するが、近い将来の低下がありえる。家を買ったグループでは長期債務を負う世帯が増加する一方、即金または短期ローンでの購入者もいる。これは持ち家取得者のなかの階層化を反映する。

住宅高騰に対処するため東京都は官民連携ファンドを設立し、相場の75~80%の家賃で借りられる「アフォーダブル住宅」をつくる計画を立てた。しかし供給は少なく影響力は小さい。

住宅ローン減税の面積要件を現在の50㎡以上から40㎡以上に引き下げ、さらに中古住宅への適用を拡大する政府方針も報道されている。

これは持ち家需要を新たに掘り起こす意味をもつ。しかし住宅面積の拡大を目指してきた過去の政策と矛盾する面がある。また、所得逆進性の強い住宅ローン減税から小住宅を買う低額納税・少額借入者が得る利益は小さい。

大都市の住宅高騰は、半世紀以上にわたる持ち家重視の政策と、それを支えた金融化に根ざす歴史的・構造的現象である。

住宅価格の上昇は投機を刺激し、さらなる高騰に結びつき、「住むための家」を必要とする人たちを困らせる。デベロッパーの一部は、マンション販売時の短期転売禁止に乗り出した。しかし投機を排除するには、居住・賃貸目的のない住宅購入の規制、短期転売益と利用予定のない空き家保有への重課税、国外在住者による住宅取得の規制など、国レベルでの体系的な対応が必要になる。

政府は1970年代以降、持ち家促進ばかりに注力した。家族をつくる人たちは賃貸では適切な広さと家賃の住宅を確保できず、家を買うしかない。年金での家賃負担は困難であるため、高齢期までに住まいを所有し、ローン返済を終える以外に生活を安定させる方法がない。

賃貸居住をほぼ全く支援しない従来の政策を転換し、持ち家・賃貸の双方に中立に対応して、持ち家取得以外の選択肢を用意すべきではないかと述べられています。

住まいは人生を守る器とみなされていた。

しかし融資率100%、50年返済といったローンで器を金融化し、

人生それ自体を担保に入れるかのような持ち家購入も増えた。

この状況を克服、変えて行かねばならないと思います。

小さな工務店を選択して頂いたお客様から

無理のない総資金計画を常に提案実現させることが大切ですね~

住まいのメンテ費用も長期計画で想定しておかないと

住まいも身体も健やかに参りましょう

蜂蜜パワーで大病することなく、今年も何とか乗り切れたように思います。