住まい造りは【夏をむねにすべし】の季節にいきなりなりましたね~

吉田兼好『徒然草』第55段に出てくる有名な一文ですね。

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。」

つまり「住まいは、夏に快適であることを第一に考えて設計すべきだ」という思想です。

鎌倉時代の日本の住環境や気候を反映した、気候適応型の住まい哲学とも言えます。


■ 解釈と背景

● なぜ「夏」が基準なのか?

  • 高温多湿な日本の夏は過ごしにくい。冬は衣服や火でしのげても、夏の暑さは住まいの工夫でしか逃れられない。

  • 昔の日本家屋は断熱性が低く、冬の寒さよりも、夏の風通し・涼しさが生活の質に直結していた。


■ 徒然草の本文(要約)

原文ではこう続きます:

冬は、いかなる所にも住まる。暑きころわろき住居は、堪へがたき事なり。

つまり「冬はどんなところでも住めるが、暑い季節に悪い家に住むのは耐えがたい」という考え。


■ 現代への応用:「夏を旨にすべし」の住宅設計

1. 風通しの確保

  • 向きの良い窓配置(南北に開口をとる)

  • 吹き抜けや通風経路の確保

2. 庇(ひさし)・縁側の活用

  • 日射遮蔽をして、夏の直射日光を室内に入れない

  • 冬の低い日差しは取り込む

3. 断熱と遮熱のバランス

  • 外気の熱を遮りつつ、風の流れを妨げない工夫

  • 断熱材とともに、外付けブラインドや遮熱フィルムも有効

4. 自然素材の利用

  • 畳、障子、木材などは、湿度調整機能や肌触りが優れている


■ 夏を旨にしつつ、冬にも強くするには?

現代の技術ならば、「夏を旨に」した上で「冬も快適」な家を作ることが可能です。たとえば:

  • 高気密高断熱住宅:冷房も暖房も効率よく効く

  • パッシブデザイン:自然エネルギー(太陽・風)を活用

  • 床下エアコン・全館空調の併用も選択肢


■ まとめ

吉田兼好の「夏を旨にすべし」は、

今も通用する「日本の気候に合った住まいの原則」です。

単なる古文の名文ではなく、

現代の住まいづくりやリノベーションにも取り入れる価値のある、

気候知と合理性の結晶です。

我が家も西側の大きな開口窓を再度検討しますかね・・・

まだ5月なのに堪えがたき暑さではありませんか!

賢く補助金を頂きながらのリフォームは良いかもしれませんね